加茂市に小劇場を、と夢見る
私のようにひとり芝居をやり続けているものには、その表現をする空間は大事である。ひとり芝居は観客を相手役として、進行する。
あらゆる思いを、体と言葉を使って、相手に伝え、それに対するリアクションと呼応する事で、劇が成立し動いてゆく。言葉で言うのは容易いが、現実は厳しいもので、いい加減な気楽さでやったのでは、絶対にうまくゆかない。それほどに相手役は、したたかに冷た
い。簡単に心など開いてくれない。その為に、わが心の、心情も、思想も、知識も全て、投げ出し、身を晒さなければならない。
ひとり芝居とは、身晒しの表現なのである。
その表現が、相手に伝わるには、程よい空間が必要である。が、残念ながら、私の気に入った程よい空間は、加茂市には見つからない。と、嘆いてもしょうがない。自分が勝手に必要としているのなら、自分で作るしかない。道理である。
そこで一念発起する。
作ろうとしなければ出来ない。それも道理である。
今回の元加藤眼科医院での公演は、急ごしらえの空間で、小小劇場でしかない。が、小劇場の空間で行われることの面白さのなにがしかを感じてもらえたらと願って、企画したものである。
果たして、願いどうり、小劇場が出来るかどうかは、保障の限りではないが、最大の努力は試みたい。最近、私のほかにも、小劇場を望む人がいることを知った。大きな励みになった。皆さんに今回の公演を見てもらえることが、大きな支えになります。 (愚安亭 遊佐)
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