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「アテルイ」 作・演出:松橋 勇蔵 笛・太鼓:高橋壌司
しかし、今から1200年前、アテルイは殺された。 そして、その一族は、この弓なりの列島から消えた。誰もがそう思い、アテルイの記憶は消えたかに見えた。 しかし、ゆきつく所まで来てしまった現代文明の行きづまりの中で、誰かの声が聞こえる。誰かが見つめている。 現代文明の反対の闇から、今、見つめている目。アテルイ
−アテルイ・時を越えて、放つ光、声−
しかし、京の都の人々はアテルイを恐れた。恐怖は膨れ上がって、パニックに陥った。殺さぬ約束は反古にされ、二人は河原で首をはねられた。その時、アテルイの首は空を飛び、宙を走って東北の生地、達谷の岩谷へ帰った。・・・伝説である。 伝説の中にアテルイを葬った大和権力は、やがて列島を支配し、今、現代文明のあだ花を咲かせる。 アテルイ達の愛した大地をくつがえし、アテルイ達の愛した木を切り、森を打ち壊し、人間中心の世界を打ち立て、謳歌し、もはや天の声、地の声に耳を傾けない。草木虫魚獣鳥の命を顧みない。 アテルイは最後の砦だった。その砦は消えた。アテルイ、北の民、エミシ。
いや、しかし、北の地には何かが潜む。北の地の森の枝々の揺らぎの中に、波逆巻く海のうねりの中に。闇を見透かす眼を光らせ、心を揺さぶる低いうめきを声として、見えない光を放ち、何かが生きている。
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